代表者メッセージ

渡邊昌肥満者やメタボリックシンドローム、糖尿病の増加など、適切な食事、栄養摂取の崩れが大きな社会問題となっています。政府は食育基本法や新健康フロンテイア、特定健診・特定保健指導などをつうじて、健全な食生活習慣をひろめようとしております。石塚左玄は明治時代に食育の重要性を指摘し、食養生の実践を提唱しました。一方、佐伯矩は生理学をベースに栄養学を組み立てました。石塚左玄は実践的な食事療法が中心といってよく、東洋医学と西洋医学との違いがあります。

 

 石塚左玄の食養会に参画し、日本綜合医学会を創立した二木謙造は「健康への道」昭和17年刊「序」に以下のように書いていますが、70年後の今も変化がなく、ますます薬剤頼りの医療になっています。また、超高齢化社会にあって老人の死の質は世界でも中位以下と評価されています。健康長寿社会の建設には食養を徹底することが必要です。

 

「今日の医学は完全正食を無視した医学である。完全正食とは、蚕に桑の葉、鶴にどじょう、鷹に雀、猫にねずみ、虎にうさぎ、日本人には玄米菜食、それでこそ天地が生々化育で、人は自然順応で天地に矛盾なく、人生に病なく、人は無病長寿、百歳平均の天命を全うして、無病、無苦、無痛、安楽な死を遂げることができるのである。ところが今日の医学は今も精白した米に依存してその不完全、肉、魚、脂肪、菜果のなかで補充しようとしている。それがため人畜は、多く病気に罹り、体質は低下し、人は抵抗力の減弱を来たし、胃腸病、呼吸器病、皮膚病、神経系等疾患、腎臓病、伝染性疾患を引き起こし、みな苦悩の多い病的死をいたし、極度に死を嫌い、恐れるようになるのである。そして今日の医学は相変わらずその根本の誤りを改めようとせず、慈養練勢をこととして完全正食に帰ることを知らずにいる。ちょうど生理的手足を忘れて義手義足をつけて練成に共有するようなものである。百年の努力は水の泡と消えてしまうであろう。早く天然の手足に立ちかえるべきであろう。」

 

石塚左玄の説はいまからみると科学的とはいえない点もありますが、欧米一辺倒であった日本にあって、ミネラルバランスの重要さに気づき、それを食養生につなげたのは、たいへん独創的で先駆的なことといえます。またその思想を継承した桜沢如一、久司道夫など健康な生活を目指してマクロビオテイックを普及している人達もいます。また医師でも食養に取り組む人が増えています。

 

今までの西洋的栄養学が今の生活習慣病を増やしてきたことを反省するならば、日本の食養生の歴史や成果を取り入れて、科学的知見を再評価し、ここに統合食養学として上のレベルを目指して更なる発展により、人類のためにも国内外に普及させる必要があります。統合食養学は統合医療の中核をなすべきものであり、連携を強化して広く活動できるように当協議会の設立にご参画下さるようお願いいたします。

渡邊 昌

2011 綜合食養推進協議会.
Powered by Joomla 1.7 Templates